公開: 2024年4月17日
更新: 2024年4月17日
ある観察対象を一定時間以上、継続的に観察していると、その観察対象の外部環境の特定の変化に対して、観察対象が似たような動きをする現象が見られます。この外部環境に起こる特定の変化を「刺激(しげき)」と言い、それに対する観察対象に起こる一定の変化を「反応(はんのう)」と呼びます。この刺激と反応の組み合わせは、刺激が何回か起こると、決まった反応が観察できるようになります。この刺激に対して、一定の反応が観察されるようになることを、学習と呼びます。
物理学的には、ある物体に力を加えると、物体は、力が加わった方向に動き始めます。この時、物体が静止しているならば、加えた力に対して、物体は静止したまま動かないように、反対の力を生じます。これは、反作用と呼ばれる現象です。作用と反作用は、刺激と反応と同じように、観察対象に起こる変化ですが、反作用は、最初から最後まで、一貫して、同じ動きが観察できます。しかし、学習によって獲得される「刺激に対する反応」は、最初の刺激と、2番目の刺激、3番目の刺激では、少しずつ異なる反応です。与えられる刺激の数が増すことで、反応の起こり方が安定します。また、一般に、刺激から反応までの時間間隔が短くなります。
生物では、その生物の種の存続のため、または個体の存続のために、学習が行われます。それが、その種や、その個体が、与えられた環境の中で、生きながらえられる確率が高まるからです。学習は、そのような目的が関係したとき、観察対象の生物に起こります。例えば、その個体や、その種が生きるために摂取しなければならない食物を得やすい環境を見出すために、環境の中を移動しながら、居場所を探す行動などに、そのような学習能力が使われます。その逆に、自分や、自分たちの生命を維持するために、天敵に会う確率の低い環境を探す場合にも、学習能力が使われます。
行動科学の分野で有名な「パブロフの犬」は、ある状況で、決まり切った信号が与えられ、その刺激に犬が、特別な反応をすると、餌が与えられるように訓練されます。そのような特別な訓練を受けた犬は、似たような状況で、問題になっている刺激が与えられると、ほぼ自動的に、訓練された反応を示します。それは、その犬にとっては、簡単に餌(えさ)を得られる行動だからです。これは、条件反射と呼ばれている、学習の一形態です。最初、その犬は、その刺激が与えられると、それを解釈して、反応していますが、訓練を続けると、刺激から反応までの時間が短くなります。つまり、刺激と反応が、直接的に結びつき、刺激が与えられると、即座に反応に結びつきます。